一昔前までは庶民の味方だったイカ。近年、イカは漁獲量が減少し、価格変動が起こっています。それでも尚、需要は多く、特にアオリイカと呼ばれる種類は食用や釣りの対象として人気があります。主に日本沿岸に分布する大型のイカです。
一方で気をつけて欲しいのが食中毒。イカに限らず魚類には付き物です。特に刺身などを食する日本ではその昔から食中毒との悪縁が切っても切れません。その代表的なものがアニサキスです。
アオリイカとアニサキスについて詳しく説明していこうと思います。
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目次
アオリイカについて

胴長は約40〜45cmで、大きいものでは50cm以上、重さは6kg以上に達するものもあります。日本のみならず世界中の沿岸域に生息するイカで、大型の部類に入ります。
胴が丸みを帯びており、胴の縁に渡って半円形のひれを持っています。いわゆる皆さんが想像するスタンダードな形です。オスの背中には白色の短い横線模様が散在しますが、メスは横線模様が不明瞭です。
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どこに住んでいるのか
通常は海の深い所に生息していますが、春から夏にかけては産卵のため海岸近くの浅場にやってきます。海藻や岩の隙間に産卵する為です。ちなみに産み付けられた卵が魚に食べられる事はありません。何故なら卵を包む膜の中にバクテリアがいて、魚が嫌がる物質を出しているからです。
卵からは20日ほどで孵化し、幼体は浅い海で小魚や甲殻類を食べて成長します。夏には体長数cmの幼体が浅い海で落ち葉のように擬態し、波間に漂う様が観察できます。幼体は沿岸の浅い海で体長15cm〜20cmほどまで成長し、冬になると深場に移動していきます。
アニサキスについて

アニサキスとは魚介類に寄生する寄生虫であり、食中毒(アニサキス症)の原因寄生虫として知られています。幼虫である時期は主に甲殻類などに寄生して、最終的ににはイルカやクジラなどの腸内に潜り卵を産みます。その中間、人間で言うと成人の頃にイカに寄生して成長します。
アニサキス症とは
激しい下痢や嘔吐を引き起こす食中毒です。イカに限らず刺身など魚を生食で食べる事が多い日本では特に注意されており、1999年から食品衛生法で食中毒の原因とされ保健所への提出が義務となりました。アニサキス症には大きく分けて3種類の例が報告されています。
胃アニサキス症
胃アニサキス症の場合は食後2時間から8時間で発症するものが多く、内臓に締め付けられるような差し込むような痛みが起きてそれが持続して、また嘔吐を伴う場合があり、下痢、蕁麻疹、大量吐血を見ることもあります。
腸アニサキス症
腸アニサキス症の場合では食後数時間から数日しておへそを中心に差し込むような痛みが出現して嘔吐が激しくなります。発熱はありませんが、虫垂炎、腸閉塞などと誤診されて急性腹症として開腹手術を受けることがあります。
腸管外アニサキス症
稀に消化管を抜けて消化管以外の臓器に迷入して種々の症状を起こすか、他疾患の処置に当たって偶然に虫体が発見される事があります。胸腔、肺、腹腔、腸管膜、肝、リンパ節、皮下など体内のあらゆる所に及び、現在までに報告は50例を越えます。
アニサキス症を死滅させる方法
アニサキス症の特効薬は今の所ありません。感染を防ぐには60度以上での加熱か、-20度での冷凍と行うことと厚生労働省は定めています。
もしアニサキスが体内に入ってしまったら
自然治癒は望めません。内視鏡手術などで摘出する場合が多いです。その前に試すとすれば正露丸です。アニサキスに対処する特許を取得しています。
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アオリイカとアニサキス症

アオリイカは釣り人に人気があります。自分で釣ったものをその場で食べる。これは釣りの醍醐味です。そこで、アオリイカ釣りからアニサキスの対処法を考察してみます。
アオリイカ体内のアニサキスの見分け方
捌く際にイカそうめんみたいに薄く切るとアニサキスが出てきたり、ライトで照らしてみて確認する</strong >など目視で見つけやすい寄生虫との事です。理由としては2〜3cmの紐状で肉眼で確認しやすいからです。
アオリイカと他のイカとの違い
アオリイカでもアニサキス症は報告されていますが、実はその確率は非常に少ないです。釣りたてなら更に確率が下がるので 基本的には大丈夫です。イカでアニサキス症が多いのはスルメイカとホタルイカです。ホタルイカは内臓ごと食べるせいかと推測されます。従ってスーパーで販売されているアオリイカの刺身なども他の種類に比べると安心して食べられます。
具体的な食べ方
アニサキス症にならないためにできる具体的な調理法は、3パターンあります。
- 細かくカットする
- 冷凍する
- 加熱する
細かくカットする
一般的にイカを食べる時はまず皮を剥がします。アニサキスは皮を剥げば簡単に目視出来ます。それでも心配ならイカそうめんにすると安心です。 生虫での食中毒で多いのはアニサキスですが、アニサキス自体は生命力が弱く身体に傷が付いただけで簡単に死にます。
イカ自体は切れ目から旨味が出ますので刺身の場合は切り口を広くする為に斜めに切るのが一番です。そうする事で寄生虫を切る確率が増えますし、旨味も出て一石二鳥です。 そして心配なら表面に細かく切れ目を入れるのも効果的です。お寿司屋さんのイカに切り目が入っているのはこういった理由があるのです。
冷凍する
アオリイカの内臓を取った状態で、1杯ずつラップに包んで冷凍します。マイナス20以下で24時間以上冷凍すればアニサキスは死滅して、刺身にしてもアニサキス症にかかることはありません。家庭用の冷凍庫の平均温度がマイナス18度なので、温度設定を「強」にすればマイナス20度以下にすることができます。ただ、それでも心配だという方は、細かくカットして刺身にすると安心できますね。
加熱する
アニサキスは火を通すことでも死滅させることができます。60度以上の温度で2分以上加熱すればOKです。冷凍だと冷凍庫の温度がマイナス20度にならないものも多いので、確実とは言えませんが、60度に加熱するだけなら、誰でもカンタンに行えます。たとえアニサキスがいたとしても、加熱ならほぼ確実に死滅させられます。パスタやいかめしなどアオリイカは加熱しても美味しいイカですので、オススメです。
正しい知識をつければアニサキスがいてもアオリイカは食べられる!

イカは古来から日本人には欠かせない存在です。なかなか外に出にくい昨今、釣りやキャンプは趣味として注目を集めています。多少値段は高くても食べたい、少なくなっていても釣りたい。当たり前に目にしてきたものですから需要は必然的にあり続けるのです。
アニサキスの症状は感染症のそれと似た部分があります。正しい知識を身につけて安全に、安心に食べたいものですね。
それでは、良いエギングライフを〜!
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